娘はやせ我慢の美学を貫いたという解釈

ロシアのサンタクロース、ジェド・マロースの続きです。

寓話には教訓がつきものです。

確かにジェド・マロースの伝承には継母とその連れ子が欲をかいたために連れ子が凍死するという暗喩がモチーフとなっていますが、腑に落ちないのは最初に家を出された娘が、ジェド・マロースから冷たい風を吹き付けられ、なお「暖かいか?」との問いかけに「暖かいです」と答えた部分。

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暖かいわけないですよね。

封建反動時代のスラブ人的教訓やソビエト連邦時代の教訓、簡単に言うと正直者であるより権力者に逆らわない従順な生き方が幸せを呼ぶという教訓が含まれている、と解釈されているのが一般的です。

だとしたら、かなり連れ子が凍死するよりも恐怖な物語ですね。

でも。

家を出された娘がジェド・マロースのドS的な扱いに対して我慢しながらも弱みを見せずに「暖かいです」と言い続けた、と解釈することもできます。

つまり、やせ我慢の美学。

この訓話なら恐怖政治や従順であることを美徳とする教訓よりも理解しやすくなります。

なお、なぜジェド・マロースがその後、クリスマスのサンタ役になったかというと、ソ連時代は宗教が表向き禁じられていたので、クリスマスを祝うことができませんでした。

そこで庶民はサンタクロースのようにキリスト教の聖人でなければ共産主義に反することもないだろう、という理由からジェド・マロースを登場させたといいます。

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