洋紙は100年、和紙は1000年

2014年、日本政府が申請した「和紙 日本の手漉和紙技術」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に無形文化遺産として登録されました。

和紙はクワ科の植物、楮(コウゾ)を原料にして手で漉いて作りますが、洋紙に比べて耐久性が高く、耐用年数は洋紙が100年であることに対して和紙は1000年持つといわれています。

これは洋紙が木材パルプを原料として紙に色をつけるため(白い洋紙は元からの色ではなく白く着色しているのです)、薬剤を使うので酸性となってしまうからで、その点でも自然素材である和紙が日本以上に世界で注目されるのは頷ける話。 続きを読む 洋紙は100年、和紙は1000年

モダンアートに発展する漆塗り

プラスチックや樹脂の台頭で伝統工芸という日常から離れた存在になってしまった漆ですが、伝統的な漆器を高級化する一方で現代の生活に合わせたスタイルを生み出しています。

たとえばスマートフォンケース。

プラスチックに漆を塗っただけの大量生産もありますが、中には本来の漆器と同じように木地をきちんと作って伝統的な技法を用いた商品もあります。

万年筆やボールペンなどの筆記用具、ヘッドフォンやスピーカーなどの音響機器、中にはパソコンの筐体まで漆塗りの特注品があり、どれも強い個性を発揮しています。 続きを読む モダンアートに発展する漆塗り

防水性が高く修理が可能な日本の漆器

木桶と並んでポピュラーな日本伝統の文化が漆器です。

現在、お椀はプラスチックや樹脂製が大半を占めていますが、それでも木地に漆を塗ったデザインだけは継承されていますね。

漆の技法は中国が発祥ですが、漆器に関しては日本が独自に発展させ、世界中から漆器は日本固有の文化として認められています。

現在、漆器は蒔絵や螺鈿(らでん)などの特殊な技法によって高価である物の代名詞的存在となってしまいましたが、本来、木桶と同じように日用品で、やはりプラスチックと樹脂製が席巻する以前は各町村に必ず漆屋があり、漆が剥げた椀や盆などを修繕していました。 続きを読む 防水性が高く修理が可能な日本の漆器

木桶はかつて日本の日用品

「風が吹けば桶屋が儲かる」といった諺があるくらい、かつて日本には桶屋が多く存在していました。

何しろ桶は使い道が豊富です。

小さいものでは軒先に水を撒く手桶や風呂桶、ご飯を入れておく御櫃(おひつ)から大きいものになると高さ3~4mの醤油仕込み桶まであります。

葛飾北斎の富嶽三十六景では尾州不二見原で大きな桶を作っている風景が描かれていますね。

桶は指物といって釘を使わずホゾや継ぎ手によって組み立てられます。 続きを読む 木桶はかつて日本の日用品

ドン・ペリニヨンに選ばれた日本の木桶

日本の伝統工芸が海外で注目されている実例を挙げましょう。

たとえばドン・ペリニヨンが日本の中川木工芸に発注した木桶のシャンパンクーラー。

フランスのモエ・エ・シャンドン社が誇る世界を代表するシャンパン・ブランドですが、その最高級品を適温に保つためのシャンパンクーラーに日本の木桶が選ばれ、ブランド名の刻印入りで300個が注文されました。

もちろん、ただの木桶ではありません。

箍(タガ)を嵌められるように下部は丸みを持たせながら上部にエッジをつけ、シャープな曲線を見せる側面のフォルムは実用性を兼ねた日本的美しさを備えています。 続きを読む ドン・ペリニヨンに選ばれた日本の木桶

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